第154章

大島莉理はニンジンをもぐもぐ噛んでいたが、その一言に舌を噛みかけた。

「お母さん……」

どうして親って、そろいもそろって同じことを聞くんだろう。

まさか自分が、田中辰哉のことを好きそうな顔に見えるとか?

「なんでそんなのばっか聞くの? 私とあの人、あり得ないから」

「あり得ないのか、好きじゃないのか。どっち?」大島の母は簡単には引っかからない。

まな板の上に包丁が落ちる。トントントン……その音が、胸の奥を叩くみたいに響いた。

大島莉理は背中から母を抱きしめ、くぐもった声で言う。

「私、結婚のことなんて考えたことない。今は仕事をちゃんとして……それに、田中のお父さんとお母さんの...

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